納税義務者が亡くなった際の確定申告

納税義務者が死亡した場合、その年の初めから死亡した日までに得た収入に基づいて税金を支払うために、相続人は「準確定申告」と呼ばれる手続きを行わなければなりません。
準確定申告は通常の確定申告とほぼ同じ目的と手順を持っていますが、いくつかの細かな違いがあります。確定申告に慣れている人でも、準確定申告について理解が必要な場合があります。

以下では準確定申告の詳細について説明します。

確定申告との違い

準確定申告と確定申告の違いにはいくつかあります。

  • 申告場所
  • 申告者
  • 所得控除
  • 人的控除

納税義務者が亡くなった際の確定申告これらは詳細な調査をしないと分からない部分であり、見落とされる可能性があります。

申告場所
通常の確定申告では、住民票がある地域の税務署に申告書を提出します。一方、準確定申告では、亡くなった人が住んでいた地域の税務署に申告します。

申告者
確定申告では、納税義務者が申告を行います。しかし、準確定申告では、相続人が代わりに申告を行います。

所得控除
確定申告では、保険料や医療費などの控除対象期間は1年間です。一方、準確定申告では、亡くなった日までに支払った金額が対象となります。亡くなった後に支払った費用は対象外です。

人的控除
確定申告では、人的控除は1年間の扶養状況に基づきます。一方、準確定申告では、亡くなった日までの扶養状況が対象となります。亡くなった後の扶養状況は考慮されません。
これらはわずかな違いですが、誤った手続きを行うと再申告や申告不可のリスクがあるため、注意が必要です。

準確定申告が必要な人

準確定申告が必要な人の例を以下に示します。

  • 給与所得が2,000万円以上ある人
  • 自営業者
  • 複数の雇用主から給与を受け取っている人
  • 年金が400万円以上の人
  • 給与以外に20万円以上の収入がある人
  • 土地などを売却した場合

上記のような人々は、相続人として納税の義務があるため、忘れずに準確定申告を行う必要があります。

準確定申告が不要な人

一方、準確定申告が必要ない人もいます。以下に準確定申告が不要な人の例を示します。

  • 給与所得者の場合
  • 年金受給額が400万円未満の場合
  • 相続を放棄した場合
  • 相続人が複数いる場合

ただし、年末調整を受けていないために税金を余分に納めている場合や、亡くなった人が生前に支払った医療費が10万円以上ある場合は、準確定申告をすることで還付金を受け取ることができます。

準確定申告の手順

準確定申告を完了するためには、以下の手順を実行する必要があります。

  • 相続人の代表を決める
  • 必要な書類を作成する
  • 必要な書類を提出する

相続人が複数いる場合全員が協力しなければならず、複数の書類が必要になるため予想以上に時間がかかる可能性があります。
申告期限は死亡が判明した翌日から4ヶ月後となります。ただし、死亡を遅れて知る場合もあります、その場合は死亡が判明した日から4ヶ月後が申告期限となります。

以下では、手順ごとに詳細を説明します

納税義務者が亡くなった際の確定申告相続人の代表を決める
複数の相続人がいる場合、代表者を決める必要があります。
代表者は資格や試験を必要とせず誰でもなれますが、通常相続人間で話し合い代表者を決定します。代表者を決めることができない場合は、手続きに必要な時間や知識を持つ人が代表者になることも考慮されます。
代表者になっても特典はありませんが、時間に余裕があり、確定申告に関する知識が豊富で責任感が強く真面目で几帳面な人が適任とされます。

必要な書類を作成する
代表者が決まったら、次に必要な書類を作成します。
以下は必要な書類の一部です。

  • 申告書
  • 亡くなった納税義務者の源泉徴収票
  • 亡くなった納税義務者の控除証明書
  • 所得税および復興特別税の確定申告書付表
  • 亡くなった納税義務者の医療費の領収書
  • 委任状

これらの書類を作成するためには、「亡くなった方の源泉徴収票」「亡くなった方の保険料控除を証明するもの」「亡くなった方が支払った医療費の領収書」などを参考にして作成します。
申告書については、通常の確定申告と同じものを使用しますが、用紙の「申告書」という部分の頭に「準確定」という言葉を追加して記入します。

必要な書類を提出する
必要な書類を準備したら必要事項を記入して税務署に提出します。提出方法は直接窓口に持参するか、郵送する方法があります。
また、電子申告も可能ですが、電子申告は代表者のみが申請できるため注意が必要です。
ただし、委任状は実物を提出する必要があるため、電子申告が完了した後に税務署に提出する必要があります。

このようにご家族がお亡くなりになった場合は、準確定申告を行わなければならないことがあります。
相続との絡みもありますので、不明な点等があれば行政書士や司法書士などの専門家に相談するのも良いでしょう。
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